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子ども・子育て新システムについて思うこと・その2~介護保険型の「利用者補助方式」への疑問① [保育について]

子ども・子育て新システムについて思うこと・その2
~介護保険型の「利用者補助方式」への疑問①・「要保護児童」はどこへ

「子ども・子育て新システム」が、子ども関連予算を、
地方一括交付金から「子ども」の紐付きで守る、という意義については、前回述べた。

 しかし、2010年年11月4日、基本制度ワーキングチームにおいて提案された
幼保一体給付の政府案は、基本的にサービス利用量に応じて一律の負担割合で
利用者が自己負担する介護保険型の制度設計となっている。
かかる制度設計には、以下に述べる幾つかの懸念があり、反対である。

 現状、認可保育所は、児童福祉法24条4項、同25条、同26条の規定に基づき、
虐待の疑いがもたれるなどの「要保護児童」に対して入所勧告し、
措置的に入所させる機能を有している。
この機能に基づき、児童相談所では、
・子ども側の要因も含め養育に困難をきたしている家庭、
・家事育児が苦手でネグレクト状態になっている家庭、
・イライラして子どもに手を上げそうになってしまう家庭
などを援助する際に、保育所への入所を勧告している。

日中、子どもと離れる時間を持つことで養育の行き詰まりを防ぎ、
保育所の保育士から具体的な育児支援を受けることで家庭を支えている。

また、一時保護所や施設から家族再統合を図る際には、
必ず保育所への通園を条件として、
子どもの安全を確認しながら家族再統合を進めている。

 このような保育所の社会資源としての機能は、 新システムに移行しても、堅持されなければならない。


 ところが、
介護保険型の制度に移行した場合には、多くは貧困を抱える要保護児童の保護者も、
一律、サービス利用量に応じた一定の自己負担金を支払わなければならないこととなり、
上記入所勧告が遵守されない事態を招来する。
すなわち、要保護性の高い児童ほどサービス利用量が増え、自己負担金が高くなり、
保護者の経済力によって、要保護児童に必要十分なサービスが提供されないこととなれば、 新システムが言う「すべての子ども」から「要保護児童」が排除されることになりかねない。
政府は、障害者自立支援法における過ちを繰り返すべきではない。

 また、
介護保険型の制度に移行した場合には、公定価格に自由価格を上乗せしない施設では
収入が不安定になり、職員の不安定雇用化が進むことは既に実証されているところである。
「要保護児童」を受け入れる施設は公定価格のみでの運営が基本となるであろうが、
職員が不安定雇用化し、「要保護児童」及び家庭への対応に関する専門的知識・技能
蓄積されないこととなり、「要保護児童」及び家庭への支援が危機に瀕することになる。

 あるいは、
 通常の「保育に欠ける」要件で保育所に入所してから、
事後的に「要保護児童」として措置的に入所する必要があると認められた
グレーゾーンの子どもにも同様に、親の側がサービス量増に伴う自己負担増を恐れ、
必要なサービスを自ら絶ってしまう可能性もあり、児童虐待防止の観点からは、 利用者直接契約・利用者補助方式は、極めて問題である。

更に、安全面からも問題がある。
子どもに関わるサービスでは、子どもが適切にサービス内容を評価し、表現することが
困難であることから、自治体による質の面での指導・監督が十全になされる必要がある。
ところが、介護保険型の制度では、自治体と事業者との間には直接の契約関係はなく、 給付の法定代理受領制度があるのみであり
事業者の提供するサービスの質に問題があっても、利用者が選択して利用した以上、
自治体は給付を支払わざるを得ず、実効性のある指導・監督が及ばなくなる危険がある。

 加えて、事業者側による選別という問題もある。
事業者が「要保護児童」のような手のかかる子ども・家庭を選別・排除する事態も、
容易に想定される。
介護保険制度の下で、応諾義務を課せられているはずの施設やサービス事業者の間で、
応諾義務違反の拒否が横行していることに照らせば、
なにゆえ「子ども・子育て新システム」では大丈夫、といえるのだろうか?
自治体と事業者との間に契約関係がないところで、
どのように応諾義務を実効あるものにできるのか、疑問なしとしない。


 以上のとおり、介護保険型の利用者直接契約・利用者補助制度では、
「すべての子ども」が排除されない制度とすることは極めて困難である。
自治体と事業者との間の委託契約を前提とした現物給付制度を維持すべきである。


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