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保育施設での死亡事故防止のための緊急提言 [保育について]

 今月(9月)2日に、保育施設での死亡事故が立て続けに報道されたことを受けて、今週月曜日(9月12日)に、赤ちゃんの急死を考える会で、内閣府と厚生労働省に「『保育死亡事故』防止のための緊急提言」を持って行き、担当者と良い意見交換ができたと思います。
 それのリライトになりますが、アップしておきます。


保育施設での死亡事故防止のための緊急提言


【第1ターゲット】午睡中死亡を無くす

 保育施設での死亡事故(保育死亡事故)の7割は、午睡中の死亡です。(※1)
 0-1歳児の午睡中の①うつぶせ寝と、②保育士不在を無くせば、すなわち、
=①あおむけ寝、②保育士の在室を徹底すれば保育死亡事故の7割は無くせます。(※2、3)

【手段1】保育施設への午睡中の抜き打ち立入調査(さいたま市方式)

① 死亡事故の多い午睡中に抜き打ちで立入調査を実施することを保育施設に周知(アナウンス効果)
② 実際に抜き打ち立入調査を相当割合の施設に行う(全数とは限らない)
③ 午睡中の指摘事項(うつぶせ寝、保育士不在、暗すぎて顔色や呼吸が確認できない)の減少(さいたま市では平成24年度41%→平成27年度15%に減少。川口市も今年度から実施)

【手段2】立入調査時の保育士の欠員/不在・午睡中の状況に関する指摘事項の公表(※4)

① 死亡事故に繋がる保育士の欠員/不在・午睡中の状況に関する指摘事項は、一発公表を周知(アナウンス効果)
② 実際に抜き打ち立入調査で、保育士欠員・午睡中の指摘事項(うつぶせ寝、保育士不在、暗すぎて顔色や呼吸が確認できない)があれば公表する
③ 保育士の充足・午睡時の保育室在室・あおむけ寝が徹底される

【手段3】1歳児の保育士(保育者)配置基準を3:1に上乗せする

 小児科学会の保育施設での死亡事故に関する報告(※5)で、「1歳以上では死亡事案が発生している施設の76.5%が認可基準を守っている施設であった。このことから1歳以上の保育士一人当たりの園児数に関する認可基準の妥当性を再検討する必要が示唆された」と指摘されています。
 1歳児のうつぶせ寝死亡事故の実態を見ても、保護者との分離不安で泣く1歳児を黙らせるためにうつぶせに寝かせるケースが多く見られており、抱っこ・おんぶをできる人手が、うつぶせ寝禁止の実効性を担保します。

【手段4】以下の2点を周知するポスターを午睡室内に張り出すよう各施設に配布

・0~1歳児は絶対にうつぶせに寝かせないこと(寝返りした場合も仰向けにする)

・子どもが睡眠中の部屋を保育者不在にしないこと


※1 厚生労働省・保育施設における事故報告集計 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072858.html

※2 教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン 【事故防止のための取組み】~施設・事業者向け~http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kyouiku_hoiku/pdf/guideline1.pdf#search='%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C+%E4%BF%9D%E8%82%B2+%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3'

※3 米国国立衛生研究所(NIH):Safe to Sleep 乳児死亡のトリプルリスク https://www.nichd.nih.gov/sts/campaign/science/Pages/causes.aspx

※4 死亡事故発生施設の立入調査結果を事後的に情報公開請求すると、保育士欠員やうつぶせ寝が指摘されているケース、過去に同種事故を起こしていたケースが多々見られる。

※5 日本小児科学会誌118号11巻1628~1635頁(2014年)http://www.blog.crn.or.jp/lab/m/pdf/lab_09_06.pdf

【第2ターゲット】誤嚥事故を無くす

 保育施設での死亡事故で2番目に多いのが、1―2歳児の誤嚥死亡事故です。認可保育所でも多く起こっています。
 子どもの嚥下機能(丁度いい量、タイミング、スピードの認知機能、咀嚼機能、嚥下機能)の脆弱性を補うために、保育士による観察、声掛け、介助が必須です。
  
【手段1】食事・おやつ時の1歳児の保育士(保育者)配置基準を3:1に上乗せする

 厚生労働省の認可外保育施設指導監督基準には、「食事の世話など特に児童に手がかかる時間帯については、児童の処遇に支障を来すことのないよう保育従事者の配置に留意すること」とされています。(何故か東京都の基準からは抜けている!!)
 多くの認可保育所では、独自に0、1歳児の昼食時に保育者を加配していますが、質の低い施設においても、子どもの命を守るための「最低基準」として、特に、食事時間帯の保育士配置を厚くすべきです。


【おまけ】小規模保育の年齢拡大に関する手当て

 大前提として、3歳未満児(0-2歳)の小規模保育所(A型)は、私自身が2009年11月に新聞紙上で提案したぐらいで、有効な待機児対策だと思って期待しています。
 他方で、小規模保育所は定員19人以下の認可施設ですから、自ずと職員数が限られます。規模の利益が得にくいため、少ないスタッフ人数で保育しなければならず、実際の運用は大変です。
 そして、3歳未満児(0-2歳)と、3歳以上児(3-6歳)では、発達段階が大きく異なります。保育施設での死亡事故は3歳未満児に集中しています。
 スタッフの少ない小規模保育所で、3歳未満児の死亡事故を防ぎつつ、3歳以上児の発達を保障するのは、極めて困難だと考えています。
 具体的な数字をあげて検討してみましょう。

 現行の必要職員配置数の算定方式(※1)に当てはめると、例えば、0歳児6人、1歳児6人、2歳児6人、合計18人の小規模保育所では、保育士4人の配置が必要でした(B型では保育士2人で可)(※2)。4人の保育士がいれば、園児の食事時間をずらすことによって、食事の世話など特に児童に手がかかる時間帯をカバーすることが可能になります。
 ところが、今回の対象年齢の拡大により、基準上は、0歳児3人、1歳児3人、2歳児3人、3歳児3人、4歳児3人、5歳児3人、合計18人の小規模保育所では、保育士は3人いれば基準を満たすことになります(B型では保育士2人、無資格者1人で可)(※3)。
 しかし、実際には、9人の3歳未満児を2人の保育者で安全に見ることは不可能に近いです。死亡事故が起きている施設でよくあるように、泣きぐずる子を黙らせるためのうつぶせ寝の横行や、食事の誤嚥による窒息事故の危険を高めます。

 そこで、どうしても小規模保育所の対象年齢を3歳以上児に拡大するのであれば、以下に挙げる保育士配置基準の見直しとセットで行い、安全を期するべきです。

【手段1】1歳児の保育士(保育者)配置基準を3:1に上乗せする

 1歳児の配置基準を3:1に手厚くすることにより、上記のケースでも3歳未満児9人に対して3人の保育士が必要となり、うつぶせ寝の禁止や、食事中の誤嚥防止が可能になります。

【手段2】3歳未満児と3歳以上児の保育士配置を別計算にする。

 3歳以上児の配置基準を別計算とし、常時2人以上配置とすることで、3歳以上児のみを戸外散歩により十分に遊ばせることが可能になり、3歳以上児に必要な運動量の確保、最低限の質の担保が可能になります。
 逆に、現行の配置基準のままだと、3歳以上児には保育者が1人しかつかないことになり、引率1人で9人の3歳以上児を連れて外出するのは危険が大きいため、事実上、戸外遊びを保障できなくなってしまいます。都市部では、戸外遊びを確保しなくても良いほどの床面積を確保できないからこその小規模保育所ですので、子どもの発達のためには人手で戸外遊びを保障する必要がありますね。

※1 現行の配置基準 「年齢別に子どもの数を配置基準で除して小数点第1位まで求め(少数点第2位以下切り捨て)、各々を合計した後に少数点以下を四捨五入。必要配置数=(0歳児×1/3 )+{(1歳児+2歳児)×1/6 }+(3歳児×1/20 ) + {(4歳児+5歳児)×1/30 }」且つ「常時2人以上配置すること」

※2 0歳児6人×1/3+(1歳児6人+2歳児6人)×1/6+4人

※3 0歳児3人×1/3 +(1歳児3人+2歳児3人)×1/6 +3歳児3人×1/20 +(4歳児3人+5歳児3人)×1/30=2と7/20を切り上げて3人


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そもそも「保育」は成長戦略 [保育について]

そもそも「保育」は成長戦略

 これも平成28年4月3日に厚生労働省に送った「保育制度の現状」についての意見です。
 
1.保育士の処遇について

 保育士の処遇が低すぎます。
 処遇が低いということは、保育士が子どもを大切にできず、死亡事故につながる虐待保育が行われる大きな要因です。
 本来、保育は、子どもとのアタッチメント(愛着)を形成し、応答的関わりを通じて、低年齢の子ども達に、人に対する信頼、自分の思いを伝える力、他者を認識して協働する力など、様々な非認知能力・「生きる力」を育む大切な教育課程です。
 家庭の保育力・養育力が低下し、発達障害と誤診されるネグレクト児童が増える中、保育所は、保護者の養育力を高める仕事までも請け負っています。
 更には、DV離婚や貧困など保護者の問題を女性相談員や生活保護課などに繋げるソーシャルワーク機能も果たしています。
 このような専門職としての保育士に対しては、その専門性に見合う給与と、専門性を高めるためのOJTでの研鑽の機会を保障すべきだと考えます。
 保育士に、現在のような非正規雇用、低処遇が広がったのは、平成13年の短時間保育士の導入に伴う規制緩和と、平成15年の公立保育園の一般財源化が大きなターニングポイントでした。
 同一労働同一賃金の原則が採用されていない日本において、一定割合の正規雇用を義務付けることは、処遇の底支えとして必要ではないでしょうか。
 あるいは、人材バンクとして、あるいは要保護児童対策や民間保育所を支援する重要な社会資源として、公立保育所は、一定数残すように、地方自治体を誘導すべきではないでしょうか。

2.すべての子ども達が、保護者が希望すれば保育所に入れるように
 先に述べた、3歳未満児からの保育において、アタッチメント(愛着)を形成し、応答的関わりを通じて、非認知能力・「生きる力」を育む保育、他方で、家庭や地域の保育・教育能力が低下している現状の中で、保護者が希望すれば、すべての子ども達に提供されるべきものだと考えます。資源の無い日本において、人材育成以外に、発展の道は描けませんから、子ども達に生きる力を育むことこそが、成長戦略につながるはずです。

(ここからは追記)

3.高度成長時代の工場労働者に代わる「中間所得者層」の仕事は何か

 グローバル人材が流行ですが、グローバルにキラキラ活躍する人材だけで世の中が回っているわけではありません。
日本語中心に日本で生活していく日本人は、これからも多いと思われますが、この日本語中心に日本で生活していく日本人が、日本人らしい優しさで繋がって、生き甲斐を感じて働き、安定して結婚し、子を産み育てて行けるようでないと、競争競争で他人を蹴落とし、蹴落とされる不安で、心を病んでしまう人も増える一方でしょう。
では、グローバル化しても日本国内に大量に残る仕事って、なんでしょうか?
 それこそ、介護・医療や保育・教育などの日本人に対して日本語で提供されるサービスではないでしょうか。これらの仕事に従事する人たちに対して、まっとうな給料を支払い、夫婦共働きなら子ども2人大学まで行かせられる、というぐらいの処遇をすれば、分厚い中間所得者層が復活して、消費も含め、お金がグルグル回り始めるのではないでしょうか。
 介護や保育の従事者の給料を上げる財源はどうするんだ、と言われると思いますが、鶏と卵の関係で、介護や保育に財源を投与して、その従事者が分厚い中間所得者層になれば、その人達が分厚い消費者・納税者になり、お金はグルグル回るはずです。対外的には国際収支は大幅に赤字になるかも知れませんが、域内でお金がグルグル回って、人々が心の安定を取り戻し、幸せを感じられる人が増えるのであれば、庶民にとって国際収支が赤字でも大きな問題ではないように思います。
 ということで、保育士を「分厚い中間所得者層」の一角と位置づけて大幅な財政投入をすることを望みます。

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「安全」を切り捨てない待機児童解消策 [保育について]

 同じく、平成28年4月3日に厚生労働省に送った「安全を切り捨てない待機児対策」の提案についてもアップしておきます。

「安全」を切り捨てない待機児童解消策

先に述べたとおり、保育士の配置基準と、面積基準には安全確保のための重要な意味(必要性)があります。いかなる待機児童解消策においても、保育士配置と面積基準の緩和はすべきではありません。

1.本質的には、保育士が安心して働ける処遇の改善を

(1)給与の底上げ
  ① 保育単価の増額(財源は後述)
  ② 労働分配率の縛り(小泉改革で規制緩和したものを復活させる)(財源不要)

(2)スキルアップの補償
  ① OJTで学べる環境の確保
   → 自治体からのベテラン保育士の派遣(後述)
  ② 研修参加のための代替職員の確保
   → 自治体からのベテラン保育士の派遣(後述)

  【自治体からの保育士派遣】
    急激な待機児対策のための保育園新設により、経験の浅い若い保育士しか居ない保育園が激増しています。しかし、経験値が低いことが、子ども達が一斉に泣いたり、それぞれがてんでばらばらに行動したときにキャパシティオーバーとなり、うつぶせ寝、閉じ込め、脅迫などの虐待に繋がっています。
自治体が民間事業者の支援策として、経験豊富な保育士を、例えば、経験年数5年未満の保育士しか居ない施設に1年間派遣しOJTで手本を示すなどの方策を採ってはどうか。(巡回指導は、監査に準じたものと意識されやすく、相談がしにくい、日常の保育中での問題点の解消につながらないことが懸念される。)
    また、研修に参加する機会を補償するためには、業務時間内に現場を離れられる人員体制が必要となるが、自治体から臨時的な保育士派遣をしてはどうか。

(3)仕事上のストレスの緩和
   保育園は、要保護児童や障害児の受け容れが進み、また、地域の子育て力の低下からナーバスな保護者が増加しており、保育士のストレスも増加していることが、保育士の退職原因の一つになっています。
 自治体が、臨床心理士や医師などの専門職を巡回させて、スーパーバイザーとして相談に乗る体制を整備してはどうか。

(4)奨学金の免除
   保育士養成校を卒業した人のうち約半数が保育所以外に就職している背景に、保育士は給与が安く、養成校に進学するために借りた奨学金を返済できないため、他職に就くというケースがあります。
   そこで、保育士として5年以上働いた場合には奨学金を半額免除、10年以上働いた場合には全額免除(政府が独立行政法人日本学生支援機構への返済を肩代わり)するなど、保育士としての就労を促進することとしてはどうか。

2.財源について
 財源の捻出方法について、指摘します。

(1)国庫負担の増額
   日本で少子化及び超高齢化が進んでいるにもかかわらず、子育て支援予算がOECDで断トツの最下位のGDP比1%程度であることからすれば、政府による財政支出を、まずはOECD平均のGDP比2.3%程度まで引き上げることは、喫緊の課題です。

(2)運営費の労働分配率の縛りを復活・厳格化させる
   規制緩和により、保育所運営企業の利益配当が可能になったり、正規雇用比率の縛りが無くなったりした結果、規制緩和前は運営費に占める人件費比率が70%台と言われていたのが、50%台の保育所もあるとの指摘がなされています。
運営費に占める人件費比率の下限を縛ることで、保育士待遇の改善の財源を捻出することが可能です。但し、同族経営の事業主体において、園長・主任・事務長などの役職手当を同族で受領し、一般保育士の処遇が低い園も見受けられることから、同族以外の者への分配率を報告させないと実効性が上がりません。

(3)事業者に対して保育士の定着率を公表させる
 保育士の定着率を向上させる工夫を各事業者に競わせることを誘引する目的で、法人毎・園毎の保育士定着率を、全体・1-2年目・3-5年目・6-10年目・10年目超などの区分で公表させてください。
 工夫の内容は、賃金のみならず、残業の有無、有給休暇の取得のしやすさ、仕事上のスキルの向上の機会の有無、保育士として長期に働くロールモデルの有無など、様々な工夫があり、、事業者が工夫を競うことで定着率が上がることが期待できます。

(4)高所得者への保育料の増額
   子ども子育て制度の枠組み内の保育所・子ども園・小規模保育などは所得に応じた応能負担により保育料を保護者から徴収していますが、多子減額などの調整はしつつ、高所得者の保育料を増額する、幼児クラスの保育料を増額する(幼稚園利用世帯との利用時間に応じた均衡をはかるとともに、幼稚園にも公定価格・応能負担を導入する)ことにより、財源を増やすことができます。
   ただし、世代間格差を考慮すれば、高所得や一定規模以上の資産を有する高齢者への介護保険自己負担率の増額や、高額療養費・高額医療費の還付制度の適用除外などを同時に進めるべきでしょう。

3.短期的な(今年度の)緊急対策について

(1)雇用主に対し、育休延長の配慮を求め、待機児となったことにより職場復帰できない場合の解雇を制限してください。
その裏付けとして、
  ① 育休職員の代替職員確保の費用を、雇用主に対して給付する
  ② 育休職員の社会保険料等の雇用主負担分を免除する
  という施策をお願いします。

(2)公共施設の空きスペースなどを活用し、定年退職保育士を活用したグループ保育を
   公立保育園を定年退職して再任用で他の職場で働いている保育士が各自治体に居るので、この人達を活用して、グループ保育を実施することは有効な対策です。この方法では、公務員の定年延長に伴い、もともと再任用している公務員保育士であり、新たな財政負担は生じません。

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ここがヤバイ!厚労省・待機児童解消緊急施策への問題指摘 [保育について]

ここがヤバイ!厚労省・待機児童解消緊急施策への問題指摘

 平成28年3月28日付けで厚生労働省は「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」を公表しました。
しかし、保育施設での死亡事故に15年以上かかわってきた私の目から見ると、「それはヤバイよ!!!」と言わざるを得ないものも含まれています。以下、平成28年4月3日に厚生労働省に送った意見をアップしておきます。

1.保育士配置の国基準では1歳児の誤嚥窒息・アナフィラキシーショックが頻発します

誤嚥による窒息の発生は1歳(0・1歳児クラス)の食事中に集中しています。1歳は、「どのくらいの量をどのくらいのスピードで食べればちょうど良いか」という認知機能も、咀嚼・嚥下機能も脆弱だからです。誤嚥窒息を防ぐ方法は、調理室における食材・食形態の配慮と、保育室における保育士の見守りしかありません。
また、全般的にアレルギー対応食の提供児童が増加しており、アナフィラキシーショック防止のためテーブルを分けて食事提供している園がスタンダードです。
誤嚥及びアナフィラキシーのリスクをコントロールするために、一般に保育所では、1歳の食事時、非常勤保育士も含めて子ども4人:保育士1人で運用しています。これを6:1の国の最低基準通りに詰め込めば、誤嚥窒息及びアナフィラキシーショックの頻発が予想されます。
保育士配置基準の緩和、無資格者による代替は、絶対にやめてください。

2.保育士有資格者の配置基準緩和でネグレクト死が増加します

 泣く子どもをうつぶせに寝かせて「騒音」を消すために毛布を被せて放置したり、押し入れの中や別室に寝かせて放置(ネグレクト)して窒息死するケースが相次いでいます。また、近年、保育ママ・ファミリーサポート事業などでのうつぶせ寝死亡が目立ちます。
 保育士資格は、子どもの発達についての専門知識を有していることの最低限の保障です。ギャーギャー泣き叫ぶ他人の子ども、しかも複数の子どもが同時に泣き叫んだ時に、虐待に及ばずに抱っこしたりおんぶしたり受容したりできるのは、「発達についての専門知識」と「保育現場での経験」の両輪によります。「発達についての専門知識」がない無資格者や、「保育現場での経験」が無い若手保育士のみの職場で、泣いて言うことを聞かない子どもに応答的に関わることなく、毛布を被せたり、毛布でくるんで縛ったり、閉じ込めたり、叩いたり、脅したりという虐待行為が起こっています。死亡事故は、その延長線上で起こっています。
 保育士有資格者の配置基準緩和は、絶対にやめてください。

Ex.ベビーシッターが叩いた暴行罪、宇都宮市グルグル巻きの暴行罪、郡山市認可外(泣くのでうつぶせに寝かせて毛布を頭から被せて重しを乗せて放置し窒息死・仙台高裁民事判決)、川口市認可外(泣くとうるさいので押し入れに寝かせて暗くして、起きだした子が他の子に乗って圧迫窒息死・業務上過失致死罪)、さいたま市認定ナーサリー(午睡中泣くので布団を頭から被せ、死後硬直が生ずるまで放置)、八尾市ファミリーサポート(泣くのでうつぶせにして寝かせた)、23区内企業内保育所(泣くので他の子と別室にうつぶせに寝かせて放置)など。

3.面積基準の国基準への詰め込みで噛みつき・ひっかきが頻発し、保育士の退職につながります

人間には他者に侵害されると攻撃的になるパーソナルスペースがあります。*ここに踏み込まれると、噛みつき・ひっかきなどのトラブルが1,2歳児において頻発し、保護者からのクレームが保育士を圧迫します。
また、詰め込みにより、子どもが集中して遊びこむことができなくなり、子ども同士の小競り合いが増え、保育士の多忙感が増すことになります。
いずれも、保育士が燃え尽きてしまい離職する原因になっています。

*全国社会福祉協議会による「機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業総合報告書」によれば「2歳未満児は1人あたり4.11㎡」必要とされています。

4.企業内保育所でも子どもは亡くなっています

人員配置・面積基準を緩和するのはやめてください
企業主導型保育事業を「子育て支援員等」によって整備しようとされていますが、企業内保育所でも、類似の死亡事故は起こっています。
事業所内保育所の中には、保育士資格のないベビーシッターが日替わりで保育しているケースや、保育士の入れ替わりが激しいなど、子どもと保育者の愛着形成がなされず、ギャーギャー泣くのを放置したり、うつぶせ寝で放置した死亡事故は、他の設置形態の保育施設と同様に起こっています。
企業主導型保育事業に対しても、面積基準・保育士配置基準を順守させるとともに、指導監督を及ばせてください。
EX.都立小児病院事件、都立豊島病院事件、23区内企業内保育所など

5.一時預かり事業の待機児対策活用は、家庭で子育てする人の居場所を奪うもの

一時預かり事業は、家庭で子育てをしている保護者のリフレッシュや所用時の利用のみならず、うつ状態や虐待のおそれのあるケースの優先利用で満杯の現状にあります。これを待機児童の受け皿としてしまうと、家庭で子育てする人の居場所や、虐待予防のための受け皿がなくなってしまいます。
 一時預かり事業の活用はやめてください。

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所沢市の「育児休業取得による一時退園」について [保育について]

所沢市の「育児休業取得による一時退園」について

 所沢市では、この4月からの「子ども子育て新制度」への移行に伴い、平成27年4月1日以降に生まれた子の兄姉が3歳未満児である場合に、産休期間(単胎で産後8週)を経過すると「保護者の健康状態やその子どもの発達上環境の変化が好ましくないと思われる場合」を除き、退園させられるという(以下短縮して「育休退園」と呼ばせてもらう)。
 育休明けに、兄弟姉妹同時に入園申請する場合には、上の子・下の子両方に調整指数を100点加算し、元の園に兄弟姉妹同時に入園できるように対応していく、とのこと。
 これについて、保護者たちが、昨日、さいたま地方裁判所に退園処分の仮の差し止めを求める行政訴訟を提起したそうだ。

■ 下の子の育休中も、上の子の年度内在園を勝ち取ってきた歴史
 所沢市でも、平成27年3月31日までの従前の扱いは、首都圏の多くの自治体と同様、国の通知に基づき施設長の裁量で、下の子の育児休業中であっても、上の子を当該年度内は退園させずに保育してきていたようである。
この趣旨は、翌年度4月には下の子も入園申請して職場復帰する場合に、
① 上の子の社会生活の場としての保育園を奪わない、という趣旨と、
② 年度替わりに職場復帰する際、上の子が再入園できるか不確実となると、第2子出産を抑制し、少子化に拍車をかけるのを回避する趣旨、
③ ②の弊害を避けるために年度替わりの再入園を確約するなら、年度途中に「育休退園」させても受け入れ枠を確保せざるを得ず待機児解消にはならないこと、
などから、下の子の育休中の上の子を年度内は退園させない扱いが一般化してきたものである。

■ 退園させられる上の子の立場は・・・
 退園させられる上の子は、1・2歳児クラスとのこと。これは4月1日時点で満1歳、満2歳の子ども達であり、年度内には2歳、3歳になる子ども達。イヤイヤ期突入で「魔の2歳児」とも言われる年齢層の子ども達。
 生まれたての赤ちゃんと同時に、魔の2歳児をおうちで一人で育てるのは、相当大変ですよ。私だって2人目を産んだ年のことは記憶が疎らなぐらい大変だった。専業主婦のお母さん含め、多くは母親に、この大変な重労働を押し付けて孤育てを放置してきたからこそ、少子化が進んじゃったんでしょう。だからこそ、専業主婦のお母さんたちに向けても、孤育て解消のための「子育て広場」や「一時保育」を拡充してるわけで、「専業主婦との公平性」を理由に上の子を「育休退園」させるのは「逆行」以外の何物でもない。
 そんな「魔の2歳児」が、思い切り体を動かせて、まだ並行遊びかもしれないけど、友達の存在を意識し、喧嘩したり協調したりしながら、先生たちに見守られて、共に育って行ける保育園は、本当にありがたい場所。1歳児・2歳児クラスでも立派に社会性は育っていく。そういう場を奪うのは、上の子にとって可哀想。
 更に、上の子が保育園でエネルギーを発散してきてくれるからこそ、育休中のお母さんも、朝・夕、赤ちゃんが寝ている隙に上の子にも心の余裕をもって接することができるんじゃないかなー。
 「育児休業期間中はお父さん、お母さんと子どもたちとで一緒に過ごし子どもたちのペースに合わせて生活をする中で、兄弟姉妹親子関係を築く良い機会としていただくため」とか書いている所沢市は、1・2歳児の子どもの発達も、孤育ての大変さも、お父さんが必ずしも早く帰ってこられない現実も、全然判ってないと思う。

■ 少子化対策に逆行するのでは?
 今回の所沢市の措置は、調整指数の加点により、年度替わりの上の子の再入園を確約する運用のようだが、そうだとすると、1歳児と2歳児の定員の差、2歳児と3歳児の定員の差が「育休退園」の人数より多くなければ吸収できない。本当に安心して第2子、第3子を産もうと思ったら、上記定員の差の数字が下の子の出産数のキャップになりかねない。
 あるいは、「育休退園」を避けるために上の子が3歳児以上になってから下の子を産むように間をあけると、妊娠可能年齢との関係で3人目、4人目が生まれる可能性は下がってしまう。
 少し古い数字だが、平成17年の厚生労働白書には、保育所在所児割合が高いほど、出生率が高くなるとの指摘がある(他、夫の通勤時間・仕事時間が長いと出生率が下がるなど。「有配偶者出生率の地域差の重回帰分析による要因分析」(平成17年版厚生労働白書94頁)。体感としても、保育所で周りを見ると、少子化どこ吹く風で2人、3人、4人と子どもがいる家庭も目につく。本当に、少子化を食い止めたいなら、女性が出産で仕事をあきらめることなく、夫婦ともに子育てとキャリアを両立できると思える環境の整備が重要だということ。第2子以降を産むことでペナルティを受けるような制度では、安心して産めない。

■ 不意打ち
 もう一つ気になるのは、所沢市の「育休退園」が、いつ決められて、いつ公表されたのか、ってこと。
 4月生まれの下のお子さんの多くは、昨年の7月とかに妊娠されているはずで、その時期に「育休退園」が公表されてなかったとしたら、今回の運用変更は、不意打ちですよね。
 上の子の保育を受ける権利を維持しようと思ったら、育休を取らずに産休明けで職場復帰しようかとか(職場も、急に年度途中で育休取らずに復帰したいと言われても代替職員を雇っちゃってると受け入れられない職場もあるだろうなー)、急な変更に右往左往してるんじゃないかと心配。
・・・だから仮の差し止め訴訟を起こしたんでしょうね。

■ 所沢市の翻意を望む
 所沢市のHPに掲載されたQ&Aによると、
「Q8 保育の継続事由に新たに加えられた「在園児の家庭における保育環境等を考慮し、引き続き保育所等を利用することが必要と認められる場合」とは、具体的にどういった場合か?
A8 ご家庭における保育環境等の状況をうかがったうえで、ご家庭での保育に相当程度の不安があり、子どもに影響を与えることが想定できる場合などです。
 具体的には、配偶者や祖父母等の支援が望めず、孤立した保育環境になる、出生児の保育だけでも保護者の心身の負担が相当程度に大きいと見込まれる場合などを想定しています。
Q9 「在園児の家庭における保育環境等を考慮し、引き続き保育所等を利用することが必要と認められる場合」に該当するかどうかは、自分で判断して申請するのか?
A9 育児休業中はご家庭で保育していただきたいという考えではありますが、ご家庭での保育に何らかの不安を抱かれている方で、上のお子さんの保育継続の必要があるとお考えの方は、まず、ご自分の判断で利用継続の申請をしていただきます。」
とある。
 上の子の保育を継続してほしい人は、どんどん継続申請をするとともに、所沢市は、保育の継続申請をした方々については、上の子の社会生活の場を奪わないよう、上の子の保育を受ける権利を保護する方向で、柔軟に判断してもらいたいものである。

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【教育・保育施設向け】重大事故を防止するための支援業務を始めます。 [保育について]

【教育・保育施設向け】重大事故を防止するための支援業務を始めます。

 私は、弁護士登録以来、保育施設で起きた重大事故の被害者代理人を務めてきました。また、足かけ18年に及ぶ保育園保護者としての経験を活かして保育施設と保護者との苦情調整にあたってきました。都度、重大事故の再発防止のための児童福祉法改正を働きかけたり、厚生労働省に重大事故の集約と現場へのフィードバックを働きかけてきました。長年の働きかけが実り、平成26年9月、「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」が内閣府に設置され、重大事故を再発防止に活かす取り組みが動き出そうとしています。

 ライフスタイルや労働環境の変化に伴い、保育施設を利用して子育てをしようとする保護者は増える一方です。しかし、保育士の待遇改善がなかなか進まない中、保育施設間での保育士の取り合い、ブランクのある保育士の再登板、保育士への十分な教育が行き届かない状況が広がってきているように見受けられます。
 また、子どもの育ちに目を転じても、核家族で周りに相談する人もなく孤立した子育て環境のもとで、従来なら教育・保育施設への入園前に積んできた経験を積んでいないなど、保育指針などで指摘される「標準的発達」にあてはまらない子どもも増えているように思います。
 未来をになう一人ひとり大切な子ども達の命が、教育・保育施設で失われることのないように、微力ながら、私がこれまでの弁護士活動の中で得てきた「重大事故を起こさないための知見」を、保育現場にお返しする業務を始めることにします。

 「子ども達の命を守り、健やかな育ちを守る」のが、この業務の本旨です。保育施設の利益保護を優先する顧問弁護士ではなく、第三者としての客観的視点から、保育施設のウィークポイントを指摘して改善提案をしたり、重大事故防止の研修を実施し、保護者との苦情調整をするものです。ご依頼を戴く場合には、この点をご理解いただきますよう、お願い申し上げます。

■提供内容■

【保育施設の重大事故リスク・アセスメント業務】★準備中★
~ 保育施設を実踏し、保育の観察、関係者からのヒアリングを踏まえ、重大事故のリスクを評価し、改善提案をします。

【保育施設向け研修講師
~ 保育施設の施設長・管理者・スタッフ向けに、過去に生じた教育・保育施設における重大事故を題材に、「事故から学ぶリスクマネジメント研修」を行います。

【保育施設向け苦情調整第三者委員】
~ 保護者からの苦情を受け付ける第三者委員をお引き受けします。
  苦情の聴取、苦情申出人への助言、事業者への助言、苦情申出人と苦情解決責任者との話し合いへの立ち会い・助言などを行います。
※福祉サービス事業者は、社会福祉法82条により苦情解決の仕組みを構築することとされています。そして、社会福祉事業の経営者は、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を設置することとされています(厚生労働省・平成12年児発第575号)。このうち苦情解決責任者と苦情受付担当者は、事業所内で選任しますが、第三者委員は、苦情解決に社会性や客観性を確保し、利用者の立場や特性に配慮した適切な対応を推進するため、事業者の外部から選任することとされています。
 
■お問い合わせ・お申し込み方法■
お問い合わせ・お申し込みは、以下の事務所まで、FAXまたは郵便にてご連絡下さい。
メール返信にて対応させていただきます。

〒170-0005
東京豊島区南大塚3-1-6 藤枝ビル3階
東京きぼう法律事務所
電話:03-5957-5767 / FAX:03-5957-5768
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【2014年の振り返り】「保育現場の「深刻事故」対応ハンドブック」(ぎょうせい・共著)の出版と、 内閣府「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」の開催 [保育について]

年末年始なので(笑)、2015年を展望する前提として、2014年を振り返っています。

 私が本格的に保育事故にかかわりだしたのは、2001年(平成13年)のちびっこ園西池袋園における死亡事故と、それを受けて、児童福祉法改正のロビー活動に奔走し、前年の大和市のスマイルマム事件と併せて、2001年10月に児童福祉法改正で、認可外保育施設の届け出制、指導監督権限の法定に至ったときに遡ります。

 それ以来、ことあるごとに厚生労働省に申し入れをしたり、保育園関係者に対して「事故から学ぶ」研修を年30回ほど行ってきましたが、山が大きく動いたのは、2009年(平成21年)11月に、過去40年に報道されたり赤ちゃんの急死を考える会が相談を受けた240件の保育施設における死亡事故を公表したときですね。
 毎日新聞が大きく報道してくれて、これを受けて、国が、保育施設における死亡事故の件数も内容も把握すらしていないことが明らかになり、厚生労働省が毎年1月に前年の「保育施設における事故報告集計」を公表するようになりました。

 しかし、この「保育施設における事故報告集計」は、厚労省が地方自治体に対して、地方自治法に基づく技術的助言として、報告を「お願い」するものに過ぎず、法的な報告義務は課せられていなかったため、保育事故の報告漏れが相次ぎました。
 2013年(平成25年)10月に、読売新聞が報告漏れの事故について報道してくれたことで、厚生労働省は同年10月末日付で、地方自治体に調査を求め、平成16年4月から24年12月末までの31件を追加報告しました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000031841.html

その後、保育事故の報告を「お願い」ベースではなく、法的義務にするように、再三にわたり厚生労働省に働きかけてきましたが、子ども子育て支援新制度への移行に伴い、教育・保育施設に関してのみ、法的義務が課されることになりました。

これに先立ち、重大事故が生じた場合に、どのような事故調査をすべきかの指針とすべく、2014年6月に「保育現場の「深刻事故」対応ハンドブック」(ぎょうせい・共著)を出版しました。



保育現場の「深刻事故」対応ハンドブック



その後、 内閣府で「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」が設置され、上記ハンドブックの共著者であり、保育施設での死亡事故の遺族の一人である栗並えみさん、山中龍宏医師が委員に入りました。
現在、中間とりまとめが作成されたところです。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kyouiku_hoiku/pdf/chukantorimatome.pdf

今後は、事故予防ガイドラインの検討、事後的な検証のあり方についての整理に議論が移っていく予定です。

不十分なところもありますが、10年越しで保育事故の報告義務と検証制度を求めてきたことからすると、大きな前進があったと評価して良いかと思います。


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厚生労働省「保育施設における事故報告集計」によせて -その2・発生状況検証のための研究班設置を! [保育について]

厚生労働省「保育施設における事故報告集計」によせて
-その2・発生状況検証のための研究班設置を!

今年も、厚生労働省から「保育施設における事故報告集計」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000036122.html

特徴的な点についてコメントしておきます。

その2・発生状況検証のための研究班設置を!

(1) 認可外保育施設と認可保育所での死亡事故発生率の差が急拡大

まずは、以下の死亡人数の推移を見ていただきたい。

             平成22年□□平成23年□□平成24年□□平成25年
認可保育所□□□□□□□□□□□5人□□□□□□2人□□□□□□6人□□□□□□□4人
(10万人当たり)□□□□0.24人□□□0.09人□□□0.28人□□□0.18人
認可外保育施設□□□□□□□□7人□□□□□12人□□□□□12人□□□□□□15人
(10万人当たり)□□□□□3.4人□□□□5.2人□□□□6.4人□□□□□8.1人
認可外/認可の差□□14.3倍□□□53.6倍□□□23.4倍□□□45.0倍

□□□□□□□(厚生労働省「保育施設における事故報告集計」をもとに作図)


10万人あたりの死亡事故の発生率は、
認可保育所では0.09人~0.28人で年によって凸凹があるのに対し、
認可外保育施設では、この4年間、3.4人から8.1人へと、
右肩上がりで増え続けています。

そして、認可保育所と認可外保育施設での死亡事故で発生率を比較すると、
昨年1年間では、45倍も多く、認可外保育施設で死亡事故が起こっています。

この差は、何を意味しているのか?

子ども子育て支援法における新たな保育制度で、
どのような基準を設けるべきなのか、
認可保育所と認可外保育施設の死亡事故発生率を分けている部分を
掘り下げて基準に反映すべき、大きな差だと思います。

(2) SIDS・死因不詳で思考停止の警察・行政

しかし、保育施設での死亡事故、特に、午睡中の死亡事故に関しては、
解剖の結果、SIDS(乳幼児突然死症候群)や、死因不詳、とされることが多く、
その結果、
警察は「事件性無し」とか「解剖結果が出ないとなんとも言えない」となり、
保育行政も「死亡原因がわからないから何をすればいいかわからない」となり、
事故発生時の保育体制、運用などについて、誰も何も調査しないまま、
思考停止状態で有耶無耶にされてしまうことが相次いでいます。

(3) 「顔色や呼吸状態をきめ細かく観察する」の実施状況の調査・把握を

前の章でも書きましたが、
仮に100歩譲って、SIDSが死亡原因だったとしても、
SIDSの発生には、低酸素・呼吸抑制が介在して、
呼吸中枢が未熟な乳幼児が呼吸停止する、という説が有力です。

ということは、
午睡中も「顔色や呼吸状態をきめ細かく観察する」という規定を遵守していれば、
子どもが呼吸が止まってチアノーゼになった瞬間に、
子どもをさするなど刺激したらリカバーできるということです。
観察を怠っていたからこそ、SIDSで亡くなっているのです。

では、何故、観察を怠ってしまうのか?
午睡の時間帯に、職員が保育施設内に何人いて、どこで何をしているのか?
午睡中の子どもを観察していたという職員は、どのくらいの距離で、
どのくらいの頻度で、どのように観察していたのか?
職員の配置数の問題なのか、シフトの運用の問題なのか、
観察の方法についてのノウハウ不足なのか、などなど。

午睡中に子どもが亡くなった保育現場の状況を精査して、
最低基準や、保育所保育指針・認可外保育施設指導監督基準などに
反映していくことが、再発防止の第一歩だと思います。

(4) 自治体にはノウハウがない

では、上記の調査は誰がやるのがふさわしいのでしょうか。
保育所の認可・監督も、認可外保育施設の監督も、都道府県知事の権限です。
実際には、市区町村に権限が事実上おろされている地域も多いのが実情でしょう。

しかし、年に全国19人の死亡というと、殆どの自治体にとっては、
死亡事故が起こったときの調査・検証に備えよう、などといわれても、
日常的にやらなければいけない仕事を多数抱えており、
いつ起こるとも起こらないとも判らないことに、人も金も割けない、
ノウハウも蓄積がない、というのが本音でしょう。

実際、
平成25年3月8日に「保育所及び認可外保育施設における事故防止について」
(雇児保初0308第1号・厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知)が
都道府県・指定都市・中核市宛に発出され、
その中で、
「事故の状況を的確に把握し、効果的な事故防止対策を実施するために、
事故発生時の保育所等からの報告が速やかに行われるよう
一層の指導をお願いする。」、
「保育所において死亡事故等の重篤な事故が発生した場合には、
保育の実施者である市町村において、
再発防止のための必要な検証が行われるよう、
管内市町村への周知を図られたい。」
との指摘がありますが、
平成25年に認可保育所で発生した4件の死亡事故について、
市町村による検証はなされていないとのことです。
東京新聞平成26年2月1日朝刊)

(5) 国が研究班を設置し、事故報告直後に派遣を!

一見明らかに、認可保育所と認可外保育施設で死亡事故発生率に差がある、
その原因を調査・分析・解明する、というような仕事は、
一自治体が行うには件数のばらつきが大きく、効率が大変悪く、
成果も期待できないでしょう。

国が、保育、医療、心理、法律、統計などの専門家を集めて研究班を設置し、
死亡事故報告があったら直ちに調査員を派遣するなどして、
きめ細かな情報を集め、分析し、原因を解明し、
もっとも効率的な方法で、再発防止策を打ち出していくべきでしょう。

現在、子ども・子育て会議で、保育施設における重大事故の報告義務、
検証制度が議論されています。
是非、具体化に向けて、研究班を設置していただきたいところです。

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厚生労働省「保育施設における事故報告集計」によせて -その1・午睡中に注意! [保育について]

厚生労働省「保育施設における事故報告集計」によせて
-その1・午睡中に注意!

今年も、厚生労働省から「保育施設における事故報告集計」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000036122.html

特徴的な点についてコメントしておきます。

その1・午睡中に注意!

死亡事故19件のうち、午睡中の死亡が16件と84%を占めていました。
これは、毎年、同様の傾向なのであります。
平成24年は18件中14件(77.8%)
平成23年は14件中14件(100%))
 
保育所保育指針(幼稚園指導要領と同格の構成労働大臣告示)解説書にも、
午睡中に子どもの側を離れる場合には、他の保育士等が見守ることとされ、
認可外保育施設指導監督基準にも、
仰向けに寝かせ、顔色や呼吸状態をきめ細かく観察することが規定されています。

ところが、保育現場では、午睡時間中というと、職員が交代で休憩を取ったり、
連絡ノートを書いたり、職員間のミーティングをしたり、ということで、
午睡中の子どもの観察が徹底しないのが実情です。

「SIDSだから病気だから責任はない」という言い訳は定番化していますが、
仮に100歩譲って、SIDS(乳幼児突然死症候群)が死亡原因だとしても、
SIDSのメカニズムは、何らかの原因で(うつ熱説・再呼吸説など)
低酸素・呼吸抑制が介在して、呼吸中枢が未熟な乳幼児が呼吸停止する
という説が有力となっています。
ということは、ちゃんと顔色と呼吸状態を観察していて、
呼吸が止まってチアノーゼになった瞬間に、子どもをさするなど刺激したら
リカバーできるということです。
 
子どもの顔色と呼吸状態を観察していて、チアノーゼになった瞬間を見ていたのに
リカバーできずに死亡した、という報告は、寡聞にして聞いたことがありません。

今一度、午睡中も、子どもの顔色や呼吸状態をきめ細かく観察することを、
徹底する必要があります。

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東京都公立保育園研究会・保育研究発表会「受診を要するけがの一考察~ひっかき傷の分析から見えてくること」に参加しました。 [保育について]

東京都公立保育園研究会主催の保育研究発表会
「受診を要するけがの一考察~ひっかき傷の分析から見えてくること」分科会に参加しました。

引っかき防止の保育上の工夫、ケガの手当て法、被害親、加害親への伝え方の標準化、
1、2歳児の発達についての日頃からの親へのインフォメーション、保育園のご苦労に頭が下がりました。

ケガの報告書(人型の絵にケガの箇所を書き、ケガした状況、原因、書いた人、親に伝えた人)をその日に書いて、遅番、翌朝の早番、そして全職員で共有し、親との信頼を築き、保育を振り返る、という報告には、感動を覚えました。
ヒヤリハット報告についての取り組みはあちこちで報告されていますが、実際に、徹底的に情報共有するのは、とても大変です。
朝の回覧にケガ報告書をルーティンで組み入れる、というアイディアは、素晴らしいと思いました。

1、2歳児の引っかき・噛みつきは、自分の思いを言語化できないから手が出るのに、ダメだよ、じゃ通じませんね。子どもの思い(「○○したかった」「●●を取られたくなかった」「自分が先に使いたかった」など)を言語化してあげて、子どもに「受容された」という満足感を与えた上で、「貸して、って言おうね」など望ましい伝え方を教えるのが一番大事なことですね。
加害児の親になっちゃったときにも悶々としないで、日常生活の中で、子どもの思いを言葉にしてあげて、子どもが自分の思いを言葉にできるように教えてあげるのが大事ですね。

香山リカさんと橘木俊詔さんの「ほどほどに豊かな社会」という本(ナカニシヤ出版)の中に、
「(保健師が)子どもが言葉をしゃべらないというので行ってみたら、一日中英語ビデオだけを見せている。『これじゃ言葉をしゃべれませんよ。ちゃんとお母さん、話しかけて言葉を教えてあげないと判らないですよ』って言ったら、そのお母さん、何歳になったら単語を言うとか、何歳になったら二語文を言うとかいうのを本で読んだだけなので、どうすればいいのか判らないって。もうとんでもないことがそれぞれの家庭で行われていてびっくりしますって、その保健師さんが言っていました」
というくだりがあります(71頁)。

でも、この感覚、初めての子育てを思い出すと、とてもよく判ります。
私は、赤ちゃんはうつぶせにすると簡単に死んじゃう、という知識だけはあったので、
眠るときの「うつぶせ」と起きているときの「腹ばい遊び」の違いを知らなくて、
最初の子は、生後2か月で助産師さんの家庭訪問でご指導を受けるまで、
腹ばいにしたことがありませんでした。
だからか知りませんが、最初の子はハイハイを始めるのも遅かったですね。

今の若い人が、子育てのテクニックを知らないと言って責めるのではなくて、
機会を捉えて、具体的に教えてあげることが大事だと思います。
そういう意味でも、希望する全ての親が、保育園に入れることが大事だと思います。

それくらい、「地域」の「子育て力」は低下しているということを出発点にすべきだと思います。



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