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所沢市の「育児休業取得による一時退園」について [保育について]

所沢市の「育児休業取得による一時退園」について

 所沢市では、この4月からの「子ども子育て新制度」への移行に伴い、平成27年4月1日以降に生まれた子の兄姉が3歳未満児である場合に、産休期間(単胎で産後8週)を経過すると「保護者の健康状態やその子どもの発達上環境の変化が好ましくないと思われる場合」を除き、退園させられるという(以下短縮して「育休退園」と呼ばせてもらう)。
 育休明けに、兄弟姉妹同時に入園申請する場合には、上の子・下の子両方に調整指数を100点加算し、元の園に兄弟姉妹同時に入園できるように対応していく、とのこと。
 これについて、保護者たちが、昨日、さいたま地方裁判所に退園処分の仮の差し止めを求める行政訴訟を提起したそうだ。

■ 下の子の育休中も、上の子の年度内在園を勝ち取ってきた歴史
 所沢市でも、平成27年3月31日までの従前の扱いは、首都圏の多くの自治体と同様、国の通知に基づき施設長の裁量で、下の子の育児休業中であっても、上の子を当該年度内は退園させずに保育してきていたようである。
この趣旨は、翌年度4月には下の子も入園申請して職場復帰する場合に、
① 上の子の社会生活の場としての保育園を奪わない、という趣旨と、
② 年度替わりに職場復帰する際、上の子が再入園できるか不確実となると、第2子出産を抑制し、少子化に拍車をかけるのを回避する趣旨、
③ ②の弊害を避けるために年度替わりの再入園を確約するなら、年度途中に「育休退園」させても受け入れ枠を確保せざるを得ず待機児解消にはならないこと、
などから、下の子の育休中の上の子を年度内は退園させない扱いが一般化してきたものである。

■ 退園させられる上の子の立場は・・・
 退園させられる上の子は、1・2歳児クラスとのこと。これは4月1日時点で満1歳、満2歳の子ども達であり、年度内には2歳、3歳になる子ども達。イヤイヤ期突入で「魔の2歳児」とも言われる年齢層の子ども達。
 生まれたての赤ちゃんと同時に、魔の2歳児をおうちで一人で育てるのは、相当大変ですよ。私だって2人目を産んだ年のことは記憶が疎らなぐらい大変だった。専業主婦のお母さん含め、多くは母親に、この大変な重労働を押し付けて孤育てを放置してきたからこそ、少子化が進んじゃったんでしょう。だからこそ、専業主婦のお母さんたちに向けても、孤育て解消のための「子育て広場」や「一時保育」を拡充してるわけで、「専業主婦との公平性」を理由に上の子を「育休退園」させるのは「逆行」以外の何物でもない。
 そんな「魔の2歳児」が、思い切り体を動かせて、まだ並行遊びかもしれないけど、友達の存在を意識し、喧嘩したり協調したりしながら、先生たちに見守られて、共に育って行ける保育園は、本当にありがたい場所。1歳児・2歳児クラスでも立派に社会性は育っていく。そういう場を奪うのは、上の子にとって可哀想。
 更に、上の子が保育園でエネルギーを発散してきてくれるからこそ、育休中のお母さんも、朝・夕、赤ちゃんが寝ている隙に上の子にも心の余裕をもって接することができるんじゃないかなー。
 「育児休業期間中はお父さん、お母さんと子どもたちとで一緒に過ごし子どもたちのペースに合わせて生活をする中で、兄弟姉妹親子関係を築く良い機会としていただくため」とか書いている所沢市は、1・2歳児の子どもの発達も、孤育ての大変さも、お父さんが必ずしも早く帰ってこられない現実も、全然判ってないと思う。

■ 少子化対策に逆行するのでは?
 今回の所沢市の措置は、調整指数の加点により、年度替わりの上の子の再入園を確約する運用のようだが、そうだとすると、1歳児と2歳児の定員の差、2歳児と3歳児の定員の差が「育休退園」の人数より多くなければ吸収できない。本当に安心して第2子、第3子を産もうと思ったら、上記定員の差の数字が下の子の出産数のキャップになりかねない。
 あるいは、「育休退園」を避けるために上の子が3歳児以上になってから下の子を産むように間をあけると、妊娠可能年齢との関係で3人目、4人目が生まれる可能性は下がってしまう。
 少し古い数字だが、平成17年の厚生労働白書には、保育所在所児割合が高いほど、出生率が高くなるとの指摘がある(他、夫の通勤時間・仕事時間が長いと出生率が下がるなど。「有配偶者出生率の地域差の重回帰分析による要因分析」(平成17年版厚生労働白書94頁)。体感としても、保育所で周りを見ると、少子化どこ吹く風で2人、3人、4人と子どもがいる家庭も目につく。本当に、少子化を食い止めたいなら、女性が出産で仕事をあきらめることなく、夫婦ともに子育てとキャリアを両立できると思える環境の整備が重要だということ。第2子以降を産むことでペナルティを受けるような制度では、安心して産めない。

■ 不意打ち
 もう一つ気になるのは、所沢市の「育休退園」が、いつ決められて、いつ公表されたのか、ってこと。
 4月生まれの下のお子さんの多くは、昨年の7月とかに妊娠されているはずで、その時期に「育休退園」が公表されてなかったとしたら、今回の運用変更は、不意打ちですよね。
 上の子の保育を受ける権利を維持しようと思ったら、育休を取らずに産休明けで職場復帰しようかとか(職場も、急に年度途中で育休取らずに復帰したいと言われても代替職員を雇っちゃってると受け入れられない職場もあるだろうなー)、急な変更に右往左往してるんじゃないかと心配。
・・・だから仮の差し止め訴訟を起こしたんでしょうね。

■ 所沢市の翻意を望む
 所沢市のHPに掲載されたQ&Aによると、
「Q8 保育の継続事由に新たに加えられた「在園児の家庭における保育環境等を考慮し、引き続き保育所等を利用することが必要と認められる場合」とは、具体的にどういった場合か?
A8 ご家庭における保育環境等の状況をうかがったうえで、ご家庭での保育に相当程度の不安があり、子どもに影響を与えることが想定できる場合などです。
 具体的には、配偶者や祖父母等の支援が望めず、孤立した保育環境になる、出生児の保育だけでも保護者の心身の負担が相当程度に大きいと見込まれる場合などを想定しています。
Q9 「在園児の家庭における保育環境等を考慮し、引き続き保育所等を利用することが必要と認められる場合」に該当するかどうかは、自分で判断して申請するのか?
A9 育児休業中はご家庭で保育していただきたいという考えではありますが、ご家庭での保育に何らかの不安を抱かれている方で、上のお子さんの保育継続の必要があるとお考えの方は、まず、ご自分の判断で利用継続の申請をしていただきます。」
とある。
 上の子の保育を継続してほしい人は、どんどん継続申請をするとともに、所沢市は、保育の継続申請をした方々については、上の子の社会生活の場を奪わないよう、上の子の保育を受ける権利を保護する方向で、柔軟に判断してもらいたいものである。

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