交通事故における後見人報酬の扱い/赤本2012年版下巻(講演録)によせて [成年後見について]
2010年6月6日に、このブログに、
「高次脳機能障害の方の将来の保佐人報酬」についての記事を書いた。
その後も、交通事故による高次脳機能障害の方については、
後見人・保佐人報酬を損害賠償額に積算する提訴・和解を重ねてきた。
そうしたところ、平成23年(2011年)10月8日に行われた、
東京地方裁判所民事交通部の講演会で、
「交通事故の被害者に成年後見人が選任された場合に伴う諸問題」が
取り上げられていた。(赤い本2012年版下巻(講演録編)5頁~14頁)
15件の裁判例の表を見ると、
後見開始審判にかかった費用を請求して認容されているケースは多いが、
専門職後見人の立場で訴訟を起こしたケースで弁護士費用に代わる、
後見人報酬が請求・認容されているケースが1件あるだけで、
将来の後見人報酬を正面から請求して認容されているケースは見あたらない。
小河原寧裁判官は、この点、一歩踏み込んで、
「後見人報酬相当額は、事故と相当因果関係のある損害といえるでしょう」
と述べている。
そして、具体的な報酬相当額については、
既に報酬決定がなされているケースでは、それをベースに算定し、
未だ一度も報酬決定がなされていないケースでは、
東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」※が、
「通常の後見事務を行った場合の報酬のめやすとなる額は月額2万円です」
とされているのが、一つの基準になるだろうと述べている。
※http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/koken/pdf/koken_qa/a13.pdf
ここで、一つ留意しておきたいことは、
東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」では、
基本報酬の最低額は月額2万円としているものの、
「管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には、
財産管理事務が複雑,困難になる場合が多いので,
管理財産額が1000万円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円,
管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とします。」
とされているのである。
小河原裁判官の講演録にあてはめると、
一度も報酬決定がなされていないケースでは、月額2万円を基準に、
将来の後見人等の報酬が算定されてしまうであろうことに対し、
既に報酬決定がなされているケースでは、
上記「成年後見人等の報酬額のめやす」に基づいて、
管理財産額に応じて、月額2万円より高い報酬額を基準に、
将来の後見人等の報酬が算定されることになる。
交通事故被害者の後見人等として、損害賠償請求訴訟を遂行する場合、
まずは、自賠責保険を請求する、
次に、人身傷害保険に加入している場合はこれを請求する、
これにより、交通事故による賠償金の一部を取得して、
管理財産額を一定程度押し上げた上で、
家裁に対して報酬付与審判の申立をして報酬決定を受ける。
そして、これを元に損害賠償額としての将来の後見人等の報酬を積算する、
というのが、最も被害者に有利な請求方法ではないだろうか。
「高次脳機能障害の方の将来の保佐人報酬」についての記事を書いた。
その後も、交通事故による高次脳機能障害の方については、
後見人・保佐人報酬を損害賠償額に積算する提訴・和解を重ねてきた。
そうしたところ、平成23年(2011年)10月8日に行われた、
東京地方裁判所民事交通部の講演会で、
「交通事故の被害者に成年後見人が選任された場合に伴う諸問題」が
取り上げられていた。(赤い本2012年版下巻(講演録編)5頁~14頁)
15件の裁判例の表を見ると、
後見開始審判にかかった費用を請求して認容されているケースは多いが、
専門職後見人の立場で訴訟を起こしたケースで弁護士費用に代わる、
後見人報酬が請求・認容されているケースが1件あるだけで、
将来の後見人報酬を正面から請求して認容されているケースは見あたらない。
小河原寧裁判官は、この点、一歩踏み込んで、
「後見人報酬相当額は、事故と相当因果関係のある損害といえるでしょう」
と述べている。
そして、具体的な報酬相当額については、
既に報酬決定がなされているケースでは、それをベースに算定し、
未だ一度も報酬決定がなされていないケースでは、
東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」※が、
「通常の後見事務を行った場合の報酬のめやすとなる額は月額2万円です」
とされているのが、一つの基準になるだろうと述べている。
※http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/koken/pdf/koken_qa/a13.pdf
ここで、一つ留意しておきたいことは、
東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」では、
基本報酬の最低額は月額2万円としているものの、
「管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には、
財産管理事務が複雑,困難になる場合が多いので,
管理財産額が1000万円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円,
管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とします。」
とされているのである。
小河原裁判官の講演録にあてはめると、
一度も報酬決定がなされていないケースでは、月額2万円を基準に、
将来の後見人等の報酬が算定されてしまうであろうことに対し、
既に報酬決定がなされているケースでは、
上記「成年後見人等の報酬額のめやす」に基づいて、
管理財産額に応じて、月額2万円より高い報酬額を基準に、
将来の後見人等の報酬が算定されることになる。
交通事故被害者の後見人等として、損害賠償請求訴訟を遂行する場合、
まずは、自賠責保険を請求する、
次に、人身傷害保険に加入している場合はこれを請求する、
これにより、交通事故による賠償金の一部を取得して、
管理財産額を一定程度押し上げた上で、
家裁に対して報酬付与審判の申立をして報酬決定を受ける。
そして、これを元に損害賠償額としての将来の後見人等の報酬を積算する、
というのが、最も被害者に有利な請求方法ではないだろうか。
2012-03-03 01:33
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